白山麓の自然と金沢の伝統文化の息づかいを感じた日

金沢能楽美術館

付近の山に朝雲がまだらにかかりその合間からようやく太陽が昇り始めた早朝、友人とすぐ近くの獅子吼高原の山(標高約700m)へ健康づくりの為トレッキングに出かけた。とにかく自然がすぐ近くにあるのは何と言っても有り難い、田舎ならではである。
特に石川県は細長く片方は山、それも西日本で一番高い山“霊峰白山”(標高2702m)があり、そして日本海も近い、大都会と比べれば多少の不便さがあるが、自然には恵まれた良い所である。


今日はここから約2時間ぐらい(最短コースは約1時時間)ノルデックウォーキング用のポールを使い樹木公園から頂上(後高山)へ通常はゴンドラでわずか数分で行ける。このスカイ獅子吼から見る景色は抜群手取川扇状地が眼下に見渡せ加賀平野から金沢が一望できる。空にはカラフルなパラグライダー優雅に舞っている。日本海からの涼しい風を感じるここは日本でも有数なハングライダーの基地でもある。本当に時間がゆったり流れる。


午前中の健康づくりを終え、一汗かいた身体を家でシャワーで流し昼食
午後からはチョツトした用事で金沢の中心街に出た。金沢はさすが観光都市だから街はとても綺麗である。グリーンのジャンパーを着たボランティアと思しき街の中のゴミなど拾う集団ともであった。
兼六園のすぐ近くに目指す金沢能楽美術館がある。


私も何度も前を通った事はあるがこの建物の中に入るのは初めてである。ちなみにJR金沢駅前には新しい県立能楽堂があるし、金沢周辺には能舞台を持つところも数箇所ある。又今でも金沢の路地裏などを歩くと“謡い”や“鼓”などを耳にする事もある。加賀百万石と言われた優雅さを感じる時でもある。


“能”のじれったいほどゆっくりと舞うさまはまさに“静”おそらく現代とは百八十度違う世界である。私もほんのわずか見たことがある。まったく何を舞っているか判らないがそれでも何時しか時間がたっていた事を思い出した。
会館は入るとさほど大きくはないがゆったりとし、静かに能楽の音が流れ何とも心が落ち着く。


今日は能楽の題材である軍記物語の歴史・文化の解説のセミナーがあり、平家物語に登場する女性達の姿を講師の方から一人一人の生き様を解説してもらった。なるほど人の人生は分からないもので、まさに人生無常である。誰にも分からないのである。

セミナーが終わった後、能楽の衣装などや、台本などの展示をゆっくり展示室で見たが美術を分からない私が見ても本当に豪華で優雅さが伝わる能面もじっと見つめていると生きているような錯覚を覚えた。
人はまばらあるが外国人もいる。ビデオを見ながら日本人の私も理解できないのに言葉の分かるのかな?とも思った。

能楽美術館を出るとすぐ横には人気の21世紀美術館がある。大勢の人が円形でガラス張りにこの建物に出入りしている姿が目に入る。古典と現代美術が同居し、周辺には目的別に多くの博物館や美術館がある芸術や文化を知るには大変便利なところでもある。

昔、加賀藩は国内で最も大きな百万石を誇る外様大名として幕府から常に監視されつづけ三百年、その間ひたすら文化や芸能・工芸を奨励しこれが今日に引き継がれ文化都市金沢をイメージつける。自然と同様後世に引き継ぐべき遺産でもあると感じた。

兼六園も日本三庭園(名園)のすばらしい庭であるが、金沢は兼六園だけではないのである。ゆっくりと時が流れる街でもある。


 
☆獅子吼高原から日本海を見る風景
 
金沢21世紀美術館