伝統工芸を知るには、まず体験から。 46

isikawanokinsan2007-01-15

石川県は1%県と言われる。人口・面積・生産などおよそ何でも 『全国の約1%(100分の1)』で有ると思えばよい。統計上、確かにこの計算はほぼあたっている。しかしところどころで健闘している分野も多い、石川県は全国に名だたる『美術王国・工芸王国』として人間国宝も京都と並び多い、陶芸・能楽・茶道なども盛んである。『伝統工芸品』 中でも『金箔』・『輪島塗』・『山中漆器』・『加賀友禅は有名で多くの人が今でも従事している。最近は伝統工芸のプロを育てる“職人大学校”も出来た。これはほかならぬ、加賀藩が幕府からの謀反の疑いをかけられぬように“伝統文化”を奨励したからである。しかし一方加賀藩は万一に備え、あらゆるところで密かに戦に備え準備も怠ることも忘れなかったようだ。


石川県は美術館や文化施設は全国トップクラスで多く、習い事をしている人も多い。私も今日は仕事を終え、すぐ“表装教室”に行った。“表装”とは屏風や掛け軸・ふすまなどを作る事を言う、他に水墨画・古文書解読も習っているが、それはいずれも好きな歴史に関係有るからだ。
今は『ふろさき』 と言ってお茶室に使う“背の低い屏風”と言えば分かりやすいだろう。それを作っている。
習ってみてびっくりした。障子の枠みたいなところへ、“和紙”を何枚も何枚も重ねて貼り、そのたびに糊の濃さ、塗り方、塗る場所、紙の質、重ね合わせ方が違うのだ。
それぞれが意味が有ることが分かった。これだけ複雑で手がかかるのだから、値段が張るのは当然と思う。私はまだ習って間もないが一緒に習っている人は、6〜10年の年配のベテランばかり、先生や先輩に習いながら作るがなかなかうまくいかない。
そう言えば、古文書講座の時も言われた、『少し読めるようになるには10年はかかる、習って1年ぐらいで分かるほうがおかしい、気長にやる事だ!』
昔の職人は“丁稚奉公” 制度があった。それだけ伝統工芸は一人前になるには時間がかかる。
それと昔は“紙は貴重品”である。手紙や記録した紙を再利用(リサイクル)していた。屏風の下の蓑張り(みのばり)と言う部分にはいらない古文書が使われている。もしかして貴重な書き物が出てこないとも限らない。その時は発見だ!胸がわくわくする。(捕らぬ狸の皮算用・・・)


私は日曜大工が好きだ以前自己流で少し勉強し、“漆塗り”(うるしぬり)に取り組んだことが有るが、これも又ものすごく難しく、温度・湿度の管理や下地、何十にも重ね塗り、そして一番の大敵はほこり、何度やっても、あの表面にピーンと張った独特な膜はきれいには出来ない。そのうちに“かぶれ”た。

“伝統工芸品”には、どれだけの手がかかっているか実際に“体験”するとよく分かる。最近は少しだけだが”観光地”でも体験が出来るところが増えてきた。時間があれば取り組んでみると面白いし、これが“伝統工芸”が少しでも理解出来る近道だと思う。 北陸(石川)に来た時は是非一度体験してもほしい。

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★くつろぎの広場
・一人暮らしは寂しいなぁ・・・とくに冬は一人じゃ耐えられない。  
誰か私を温めて!  未来の素敵な彼氏に温めてもらいたい・・・・・って言うじゃな〜い?

でもこの冬、あんたを温めてくれるのはババシャツだけですから!                    
                       (ギター侍の書 波田陽区より)

★歳時記
・いちはやく、白山覚(さ)めし、冬野かな  内藤鳴雪



☆伝統工芸を育てる“金沢職人大学校” (撮影:1月15日夕)

☆職人大学校と隣接するレンガ造りの市民芸術村 (撮影:1月15日夕)