オヤジの見た“大阪の人間模様” 36

isikawanokinsan2007-01-05

奈良で二晩目、昨晩は姪(めい)が昨年10月に生まれた生後三ヶ月の赤ちゃんを連れてきた。
赤ちゃんの顔を見てると、本当に“本来の人間のそものの顔”だ『泣く時』、『笑う時』、『不機嫌な時』 しゃべれなくても直ぐにわかる。特に、にっこり笑った時は、『かわいい!』の一言に尽きる。(初めて目にする世の中はどうかな?)
日本の将来我々の年金のためにも、大いに若い人たちは子供をつくり、もっとにぎやかにしてほしい。(爺婆ばかりでは寂しいではないか、)

お正月は親戚が集まりにぎやか、昨晩は女ばかりの中で私も飲んだ。アルコールがまわるに従い、口もおのずから滑らかになりテンションが上がったところで、『今日は、その程度にしたら』  ガツーン!我が家の、お局(おつぼね)様のカウンターパンチをくらい、この一言であえなく私はKO

お陰で今日は早く目が覚めた。
近くに、百人一首にも詠まれた奈良斑鳩(いかるが)の里を流れる“竜(龍)田川”があるのを思い出し、散歩に出かけた。
道路と川に挟まれたさほど広くない公園の散歩道を一人歩いた。快晴だが、もみじの落ち葉の上に霜が降る冷たい朝であった。川の土手はコンクリートブロックで覆われ、万葉集によく歌われた『ちはらふる、神代も聞かず、竜田川、からくれなゐに、水くくるとは』“いにしえの奈良の都”のおも影は感じられなかった。唯一、川に泳ぐ鯉の群れと、公園の一角にあった小さな地蔵さんに誰かは知らないが、お正月のお供えがしてあったのがせめてもの救いだった。

午前中、奈良“生駒”に住む先輩で仲人でもある家を訪ねた。いつもは車だが、午後から大阪の友人(後輩)と約束があったので、初めて電車で出かけた。
関西には独身時代も含め、かれこれ15〜16年住んだ事があるが、「俺、もしかしてぼけたか」と自分で思うぐらい、今日は乗り継ぎを何度も間違えた。 先輩のご夫婦は、毎年必ず二人で海外旅行に出かけ、昨年も南米に行ってきたとの事、本当に老後を元気に楽しんでいる
お酒も入り、いろいろ懐かしい話に会話も弾んだ。

先輩にお礼を言い、電車で大阪ミナミ“難波”へと向かった。
大阪に向かう電車の中は、まだお正月なのかサラリーマンの姿はほとんど見かけないし、若い女性が多く、比較的すいていた。、
ウトウトしながら見てると、前に座った若い娘は足をおっ広げて、隣の友達と話に夢中だ。少し離れて男か女か分からないが、必死で携帯メールをしている若者の集団がいる。私の隣に座った娘は、大きなハンドバックから、手品の小道具みたいに次から次へとお化粧道具を取り出した。鏡も大小合わせ3個も持っている。それを使ってあらゆる角度なら自分の顔を眺め回す。もう終わりかなと思ったら、今度はつけまつ毛を付け直し、コテみたいなものを取り出しカールをしだした。全く横に座っている私など眼中になく、ただ己の世界に浸っている。
(俺も歳は行ってるがまだ男だぞ!と言いたいところだ)出来あがった顔はと見ると、まるで引田天功まがい、そこまでしなくても若い人の肌はつやがあり、十分かわいいのに・・・・
“女性は見られからきれいになる”とは言うものの それよりも表情やしぐさをもっと工夫したら良いのに・・・赤ちゃんだって泣き顔よりも笑い顔が良いに決まっている。(よけいなお世話、やっぱり俺は暇なオジンか)しかし私は都会で多勢の人を見ているのがとても面白く好きで有る。

久しぶりに大阪に来た。友人と別れた後、四天王寺に行く予定であったが。歩いて通天閣の方に向かった。最も大阪らしい下町だ。さすがに路上で寝っ転がる浮浪者は殆ど見なくなったが。(裏通りにはいる)相変わらず道路はごみだらけで、空き缶などもどこそこなく捨ててある。(これはいただけないが、)
しかしこの町はどんな服装していても気軽にも歩ける庶民性を一番感じる。天王寺動物園あたりは昔、大道“将棋指し”が多くあり、お笑いの町大阪らしい雰囲気があった。大都会が全国チェーンの企業に乗っ取られ、“金太郎飴”みたいに、何とも味気ない町に変わった。その中で大阪だけは、“庶民の町浪速(なにわ)の文化”として残してほしいものだ。
天王寺公園にも行ってみた。庶民が気軽に楽しんだ駅前の公園は4〜5メートルもあろうかと思われる透明な板や柵で囲われ、その中を歩道だけを人がせわしなく通りすぎる。公園の中は殆ど人影はなかった
公園は特別特徴があるわけでもない、どこにでもある公園であった。
どうせ囲うなら“浪速の下町”の文化を演出できなかったのかと思った。
ホームレス対策だと思うが寂しい限りだある。


深夜、石川に帰った。やはりふるさとが一番落ち着く。

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★くつろぎの広場
・生酔を、あつかわせては、年増也 
           (江戸川柳より、 酔っ払いは、若い娘の手にはおえない)
★歳時記
・はなやかに、水夕栄(は)えて、寒の入り  (大谷碧雲居)


 
竜田川の流れと、静かにたたずむ川原のお地蔵さん (撮影:1月5日朝)

☆大阪(浪速)の下町、通天閣界隈 (撮影:1月5日夕)