心あたたまる雪国の人たちと、木彫り彫刻の町“井波”を訪ねて 27

isikawanokinsan2006-12-27

いよいよ年も押し迫り仕事納めの日。
朝から空は荒れ模様、でもさほど寒くは無い。
チューリップの町で知られる砺波に向かった。少し早めに出たので、高速道路ではなく、金沢の山間部、医王山のふもとを通り国道304号線を富山県福光(現南砺市
へ向かった。
県境を越え、しばらくして携帯電話が鳴ったので、車を道路端に寄せ止めた。用件を済ませ車を動かそうとするがすぐ出ない、そのうち少しずつ傾きだした。
「何か変だ」、車を降りて下を見ると、何とそこは側溝であった。落ち葉が厚く積もり、まったく気づかない。左側両輪脱輪状態、何とか脱出しょうとすればするほど車は傾きだす。枯れ木を詰めたり、ジャッキアップを試みるも、意外と溝は深くうまくいかない。
雨は時折り激しく降るし、車も時々通るが何しろ山奥の道、それに私は牽引ロープやタイヤチェーン等の冬の車の必需品をまだ積んでなかった。
そうこうしていると、一台の車が止まり、中年の男の人が降りて手伝ってくれた。しかしいろいろ試みるが簡単にはいかない。又一人、今後は中年女性が加わった。三人で持ち上げたが車はびくともしない。時々冬の冷たい雨は激しく降ってくる、それでも一生懸命手伝ってくれた。ついに業者を呼ぶ決断をした時、今度はダンプカーのお兄さんが駆けつけてくれた。やっと無事、車も傷つけず脱出する事が出来た
(何と30分以上もかかった。) 三人に深くお礼を言ったが、『お互い様、これから雪が降るとこんな事、多なるげちゃあー』『ほやほや、気つけなだめやちゃあー』と言って去っていった。
こんなに申し訳なく思ったのは久しぶりだ、最近は車も四輪駆動が多くなりタイヤも良くなったが、雪道では車が動かなくなる事が多々有る。そんな時は困っているとすぐ周りの人が手伝ってくれた。
『お互い様』こんな言葉も少しずつ聞かれなくなった。そうゆう私も最近は道路で立ち往生し困っている車を見てもそれとなく通り過ぎる。つい面倒なことには関わりたくない気持ちが先行してしまう。
雪国にずっと定着し語られてきた『お互い様』『お陰様』 もう一度これを機会に考えてみたい。

帰りに、すぐ近くに有る、砦のような石垣に囲まれた浄土真宗寺院“瑞泉寺をちょっと観てから、井波の町裏通りを歩いてみた。
夏来た時はあれほど込み合っていた街も、冬のシーズンになるとまったく人影がない、時々コツコツとノミで木を彫る音が店先から聞こえてくる。
この“井波”は全国でも有数の木彫りの彫刻の街で、今でも多くの職人(約300人位)が住んでいる。欄間や天神様(前田家の先祖は菅原道真につづく事になっている。従って家紋は梅鉢の紋が使われている。)の木彫り彫刻、さらには現代的なアクササリーなども店先に多い。
裏通りを歩きながら、芭蕉の遺徳を偲んで建てた草庵の有ある“黒髪庵”を探したが見つからなかったので、通りかかったやや小太りの中年の女性に声をかけた。この女の人は、小雨振る中わざわざ私をそこまで案内してくれた。
小さな草庵の門の前にはお地蔵さんがあり、その顔は心なしかやさしく微笑んでいるように見えた。
今日は雪国北陸親切を受けっぱなしの一日だあった。

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★一口メモ
・井波町と瑞泉寺:現富山県南砺市、石川県と接する県南西部、八乙女山(標高952m)の山麓地帯に位置し、今から約600年前(1390年)本願寺五世“綽如”瑞泉寺を創建して以来、その門前町として形成され、瑞泉寺と盛衰をともにして来た。瑞泉寺はやがて、門徒・農民を結集し次第に大勢力となり、寺院も武装一大宗教王国をつくり、多くの社家僧兵を抱え越中に君臨したが、織田信長の全国統一の時その武将の佐々成政に破れ勢力を失った。のち秀吉柴田勝家佐々成政勢と戦う時、勝興寺(高岡伏木)や瑞泉寺の宗門勢力を味方につけ北陸を平定した。このことで寺は再興され加賀藩主前田家の厚い庇護をうけた。このような歴史から加賀藩との結びつきは深い。約400年前(1589年)寺地を現在のところに移しかえ、その時京都から招かれた彫刻師“前川三四郎の弟子が代々技術を伝え、今日広く知られる井波木彫り彫刻の基をひらいたと言われる。
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★くつろぎの広場
・女性が二人連れ立って歩いていると、『スカート300円、コート500円』と書いてある看板が目に入った。一人が「あら、この店安いわ。スカートがたったの300円だって,」 連れの女性「でも・・ここはクリーニング屋さんよ」「・・・・」

                   (笑いの研究、ある勘違いのコントより)
★金さんの御免!
・先日書いた北陸に多い縦型信号機の一番下の色は“青”(緑)です。間違いでしたゴメン(念のため現物確認してきました。)
★歳時記
・行年や、灯のとびとびの、山の村  (有働 亭)



☆城壁にそびえる瑞泉寺山門  (撮影:12月27日夕)

瑞泉寺門前町、八日町通り  (撮影:12月27日夕)
 
☆本堂の大屋根まですっぽり覆われた瑞泉寺境内と井波の彫刻師(撮影:12月27日)