九頭竜川の伝説と心やすらぐ永平寺の境内 26

isikawanokinsan2006-12-26

どんより曇った朝、少し眠いが早目に家を出て福井方面に向かった。
最近は時間があれば少し早く出発し、出来るだけ高速道路を使わず一般道を通るようにしている。その方が町並みも見れるし、新しい発見も有る。
加賀産業道路手取川にかかる手取大橋(有料100円)を渡り、紅葉が有名な那谷寺(なたでら)付近を過ぎ、国道8号線の九頭竜川に架かる大橋付近に来た。
白山を源とし、ゆったりと流れる福井県最大の川九頭竜川 この川は名は白山の古い伝説からついた名前として伝えられる。川の上流の山々は曇っていてはっきり見えないが、ジャム勝山スキーの有る“報恩寺山”がはっきり見える。
この山奥には昔、修験者たちが白山を目指した“越前禅定道”があり、その拠点(馬場)であった“平泉寺”がある。僧坊(修行僧の宿舎)だけでその数6千余りあったと言われている。いわば白山の基点(本拠地)で当時の社領も相当だったろう・・・

福井駅周辺は私が8年前ぐらいに勤務していた頃とは一変し、見違えるほどきれいになっていた。今は新幹線開通をにらんだ駅舎等の工事も進んでいた。福井の市内は大変懐かしく思えた。
急に予定が変更になり時間が空いたので、山手から次の予定地金沢を目指す事にした。
「久しぶりに永平寺でも行って見るか」そう思うとすぐ車を走らせた。
永平寺”は何度も来ているが一人は初めてだ。
近づくにしたがって“越前そば”の看板がやたら目に付く、この山里はそう言えば“蕎麦の本場”でとてもおいしかった事を思い出した。
小雨のぱらつく永平寺の境内は、ひときは静まり帰り、何とも言いようがない厳かな雰囲気だ。「ラッキー!人もいないし本当にいい時来た」 最近の私は歳のせいか、こんな雰囲気が好きだ。
ガラーンした杉の大木に囲まれたうっそうとした境内を一人ゆっくり歩いた。時々修行している無表情な顔のお坊さんとすれ違う。心が安らぐのを感じる。
私は金箔できらきら輝く浄土真宗寺院より、古くて落ち着きの有る禅宗のお寺が好きである。永平寺はせめて一年に一度ぐらい訪れたい所である
今日は次のスケジュールがあるので金沢に向け先を急いだ。
九頭竜川の流れに沿って道は山へ向かって蛇行する。勝山(恐竜化石の里)から国道157号線に入り、やがて石川県との県境のトンネルにさしかかる。この辺は谷峠と呼ばれ名だたる豪雪地帯、しかし道路端やくぼ地には雪が残るが、この時期ほとんど雪が無い。
トンネルを過ぎた峰温泉スキー場は赤茶色の草だけが目立った。道路のあちこちには手持ちぶたさにしている黄色の除雪車だけが目立った。

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★一口メモ
九頭竜川:福井・岐阜県境の両白山地を源とし、大野盆地・福井平野を流れて日本海に注ぐ長さ116キロの川。その昔白山を開山したと言われる越前の修行僧“泰澄”白山山頂に立ったとき大蛇(九の頭を持った龍:十一面観音の化身)に出会い悟りを開き、その時山にいた数千蛇の良い蛇を九頭竜川に逃し、悪い蛇は白山の山頂近くに今も万年雪に覆われている“千蛇が池”に閉じ込め雪で蓋をしたと言い伝えられ、川の名はこの事にちなんでつけられたと聞き及んでいる。

永平寺山号“吉祥山”わが国曹洞宗禅宗)の大本山として知られ、今から約800年前(1244年)道元禅師が建立したと伝えられ、二年後に中国に初めて仏教が伝えられた時の年号にちなんで永平寺と改称された。約10万坪の寺域を有し、三方を山に囲まれ70余棟の諸堂が建立されており、樹齢680年と言われる杉木立に挟まれ深山幽谷の、荘厳な雰囲気を漂わせている。外国人はじめ年間100万人の観光客が訪れる北陸の有数の観光地。

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★くつろぎの広場
・宝くじ、夢みるつもりで、玉を買う       (某パチンコ店コマーシャルより)
・トナカイを、いのししに変え、お正月              (自作)

★歳時記
・数え日や、遠き田にたつ、煙見て   (鵞執)



☆九頭竜の流れと、遠くにかすむ雪の報恩寺山 (撮影:12月26日朝)

☆お正月準備が進む永平寺山門  (撮影:12月26日午後)

☆静まり返る永平寺境内  (撮影:12月26日午後)